今日、ストレッチが、治療やケアとして、王道のように指導されています。
昔は、柔軟体操って言ったんですけどね。
ストレッチする根拠を、先生方にお聞きすると、痛い状態は筋肉が必ず緊張して、固くなっているからだと、おっしゃいます。
痛み=筋肉の緊張、痛みを取る=ほぐす、といった図式とのことです。
ところで、背伸びというのを、誰でもしますよね。
背伸びは、一定時間、同じ体勢でいて、背中に疲労を感じたときなどに、無意識に行う生理的な動作です。
一定時間、同じ体勢のとき、姿勢はどちらかというと、崩れています。
背中を丸くして、デスクワーク、勉強、編み物などを、小一時間も続けていると、背中は疲れてきて、次第に張りや血流の悪さなどを、感じてきます。
背伸びをしている時間は、4秒か5秒ぐらいで、どことなく、ストレッチのような雰囲気があります。
確かに伸ばしているという点では、共通していますが、ストレッチとは全く違う点があります。
それは、背伸びが、生理的な動作であるという点です。
ストレッチは、人が作り上げた動作ですので、生理的であるかどうか、わかりません。
背伸びは、人が自然に行う生理的な伸びなので、伸びによって痛めることは、基本的にはありません。
腕を伸ばして背伸びをするとき、背すじを伸ばして、体幹(肩甲骨)の軸と、腕の軸とを重力と同じ直線上にしようとします。
背伸びは、筋肉に力を入れた結果、筋肉全体は、収縮ではなく、伸長します。
腕なら腕の形の中で、内圧が上昇するため、各関節は詰められ、軸と軸とは同一直線上に重なろうとします。
これに対して、ストレッチは、力を入れず弛緩しており、上腕のストレッチに見られるように、他方の腕でターゲット領域に対して、けん引をかけてしまいます。
背伸びとストレッチとでは、同じ伸ばすであっても、その意味が異なるのです。
関節は骨と骨とがお互いに寄り添うのが、生理です。
けん引されて、引き離れてしまっては、壊れるというようにできています。
固くなったものは、適当には、柔らかくなったほうがいいのですが、やりかた次第では、本当に体を傷めてしまいます。
ですので、ストレッチする場合には、ゆっくり、やさしく行う気持ちが、大切だと感じます。
本日も、当院のブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。