腰痛は、腰の骨組みがズレてしまったために、神経が引っぱられ、筋肉が引っぱられ、関節が炎症を起こします。
炎症で痛みが起こると、神経と筋肉は自動的に緊張し、張った感じや固い感じが起こります。
その結果、痛いこと以外では、「張っている・固い」という印象だけが残るために、固いことが痛みの原因と考えてしまいがちです。
張っていて固いことの印象のために、そのうら側に、もしこの緊張状態が解除されると、たちまち引っ張られる状態になることに気付きにくいです。
腰痛における痛みと張りは、「症状」です。
症状を、「原因そのもの」と考えてしまいますが、原因は、「症状」ではなく、「症状を起こしているもの」であるはずです。
原因は、不安定な骨組みそのもので、グラグラの骨組みでは、大きな摩擦を生じ、摩擦によって生じた熱が、近くの細胞膜のたんぱく質を固めてしまい、通常では考えられないような軽い力をかけただけだけでも、固くなって伸びない細胞膜はビリッと破れてしまいます。
破れた細胞膜から、痛みを引き起こす発痛物質というものが飛び出て、私たちを最悪な気分にさせてしまいます。
筋肉のは、関節が、筋肉が、神経が引っ張られてしまったことによる障害から免れるために、自ら緊張し防衛します。
これを、緊張しているから悪いと勘違いして、緊張を解こうとすると、防衛手段がなくなります。
私がかつて在籍していた都内の有名整形外科では、腰痛患者さんに腰の牽引療法を行っていました。
牽引機という機械で、15キロの引っ張り力をかけ、10分間腰を引っ張ります。
患者さんは毎日のように来院し、1週間かけて効果が出ないと、20キロの引っ張り力に上げて、また1週間引っ張ります。
女性だと大体25キロの引っ張り力まで上げていき、男性だと35キロぐらいまで上げていました。
この方法によって、患者さんの体は、もう一つの防衛手段を獲得していきました。
体は、最終的な自己防衛反応として、もう引っ張られようのない、カチカチの繊維へと変化していきました。
老化すると脱水して、体は固くなっていきます。
固まることが、もうこれ以上引っ張られないための最終的な防衛手段です。
同じことが引っ張るという作用において起こってくることを思うと、少し対策を考えなければなりません。
あるとき、研修先の院長が、腰のヘルニアになりました。
2週間ぐらい35キロの強さで腰を引っ張っていましたが、3週間目には止めて、毎日、病院の昼休みに小一時間ウォーキングをするようになりました。
その後院長は、見事に手術することなく、普通の生活ができるよう改善しました。
さすがだと思いました(その後も、牽引療法は病院のやり方から省かれることはなかったですが)。
腰は、腰の中心部分に向けて、組織が集まって結合する、内包力という力によって、いかなる体勢、いかなる状態においても、強く安定しています。
引っ張れば、この内包力が働かず、支持力を失います(支持力は、縦の内包力によって起こります)
歩くと、縦の内包力が起こります。
支持力が上がり、しっかりとした腰が出来上がってきます。
骨盤には、特殊な、ネジの動きをするしくみがあり、はずみながら、縦と横の内包力を仕上げていきます。
こうして、腰は、縦からも、横からも、中心に向かう内包力が戻ってきて、支持力が育ち、安定していきます。
毎日、たくさん歩いていると腰を中心に、体が強くなっていきます。腰は体の要(かなめ)なので、「腰」と書きます。
本日も、当院のブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。