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股関節

股関節の痛みが改善しない理由

 

多くの施術は、ストレッチを治療方法として採用しています。

しかし、ストレッチは筋肉へのアプローチであって、関節へのアプローチではありません。

 

股関節をよくすることと、筋肉を伸ばすこととは、同じではありません。

 

股関節は本来、長管骨として一本の骨であるはずの脚が、機能的に足首、膝、股関節、仙腸関節で関節を作ったものの一つです。

 

足首、膝、股関節、仙腸関節は、機能的に一体なので、股関節は、膝関節、足関節、仙腸関節の影響を大いに受けます。

 

筋肉へのストレッチをしても、これらの関節への作用はなく、改善への期待は持てません。

 

また、長期の間には、股関節が悪いと、逆に膝関節、足関節、仙腸関節、腰椎関節に対し悪い影響を及ぼてきます。

 

どんな運動でもすればよいというものではなく、運動は、解剖・生理ともに、よく理解した形で行われなければ、他の関節障害へ発展したり、股関節そのものに、さらなる悪化をもたらしてしまいます。

 

関節へのアプローチは、現段階では、一般的なジムマシーンではできませんし、筋トレが、たまたま股関節に良好な一瞬をもたらしたとしても、意図的であったわけではないために、再現性が得られず、改善に至るのは困難と言えます。

 

股関節の手術で、キアリ法という人工関節置換術があります。

 

この手術法で人工関節に置換すると、耐用年数は、20年です。

 

20年で、もう一度、再手術が必要となります。

 

65歳で最初の置換術を受けて、二回目は85歳ということになります。

 

当然、リスクは計り知れません。

 

キアリ術は、骨を切って、関節の受け位置を変えるのですが、股関節の位置が変わると、全身のバランスに異常な変化が起こり、動作が難しくかるばかりか、脳は、このことに振り回され続けるという、大きな負担を受けざるを得ません。

 

手術をきっかけに、認知症のような問題に発展していくリスクも、考えなければなりません。

 

いづれの手術を選択するかという問題よりも、重要なのは、動ける努力を継続していくことが最大の課題です。

 

動いて、脳と体のあらゆるバランス能力を、身に着けていく努力が必要です。

 

果たして、こうしたことが、電気やマッサージで代用できるのかと思われます。

 

あるいは、股関節位置がおかしいとして、位置の異常を改善しようとして良くなるでしょうか?

 

股関節が身体を支え、骨盤と連携しなががらバランスし、動いていくのに、荷重訓練、動作訓練なくして、何を治そうとしているのかという事です。

 

歩行訓練を必要とすることは当然ですし、それを正確に管理・指導するトレーナーが必要です。

 

電気、マッサージ、整体の施術でどうこうしようとしても、事態は好転しないのは当然と言えます。

 

変形性股関節症は、変形が、あるときいきなり起こるわけではありません。

 

最初は、腰痛だけ感じていたり、股関節が、痛みはなくても動き方がおかしい、と感じていたりすることから始まります。

 

腰は、骨盤を土台としているため、さらに骨盤の土台である大腿骨骨頭の受け皿(股関節臼蓋)に、問題を生じると、当然ながら、土台の土台の動きがおかしいため、上に乗っかっている骨盤という腰の土台も動きがおかしくなり、腰が不安定になります。

 

これを解決するには、股関節ー骨盤ー全身といった体全体の中で、動きを調和させていく必要があり、歩行バランスの重要性が、腰痛発生の段階で、すでにあるということになります。

 

歩行による調和は、我々の体が重力の作用を受けて、動的なバランスをとっていることを考えると、至極当然だと言えます。

 

逆に言えば、歩かないから、股関節の正しいバランスのよい動きが損なわれ、変形を生み出すとも言えます。

 

これを女性ホルモンとの関係で見れば、初潮期、出産期、閉経期という大きな変換期において、股関節のトラブルが多いことから、股関節の支持的役割という特徴を十分に把握して、この期間をよく歩くなど生活環境を考えないと、今後ますます多くの股関節患者さんが増えていってしまうことになります。

 

専門医の説明では、股関節に問題をかかえる人の8割の人は、股関節臼蓋の形成不全(成長不全)が原因であるとされています。

 

しかし、骨盤側の受け皿である股関節の臼蓋の成長が、その人の成長過程で成長しなかった、とは考え難いと感じます。

 

股関節の強さは、ただ関節の中を見ていて決定できるものではなく、しゃがみ動作などで見られる、ねじり荷重に対する力として出来てくるものだからです。

 

和式トイレで用を足していた時代においては、転倒者が現代よりもずっと少なく、このことが、股関節の強さを、ねじり荷重が作り出していることを示唆しています。

 

実際、股関節のすぐ近くには、大腿骨頸部というねじり荷重に対応した形状(アダムス弓)が存在しており、この部のねじり荷重の必要性を物語っています。

 

使用しなければ使用できなくなるという廃用原理は、このことにおいても当てはまります。

 

とうぜん荷重という負荷をかけなければ、退化、破綻していくのが、人の体の原理です。

 

赤ちゃんは、ハイハイをして荷重し、立ち上がって荷重するための準備に、十分な時間をかけます。

 

どういうわけか、股関節の改善に、赤ちゃんのこの準備期間と同様に、1年の歳月がかかることを思うと、体の大きい小さいとか、若いか高齢かということを超えた、荷重、負荷ということとの関係を感じざるを得ません。

 

私たちの体、生命は、この地球の重力の環境において、重力に抵抗して出来上がっています。

 

重力に抵抗して動くのに最適なのは、歩行です。

 

当院では、股関節を良くしていくために、どう荷重への問題へアプローチしていくかを話し合います。

 

当然、そこでは、骨盤の問題や、過去の怪我において、慎重に調べていくことが重要となります。

 

特に、尻もちや膝うちといった既往歴があれば、見過ごすことはできません。

 

膝、足首への外傷などもお聞きして、あたりをつけ、診察していき、問題解決していきます。

 

施術は、動きをつけてあげることが重要なポイントであり、そのために関節の滑動性をあげるような施術を行います。

 

施術が痛いというようなことはありません。

 

緩やかに、面の圧力をかけ、関節内部の潤滑を待ちます。