腰痛にはあ、段階があります。
①激炎症期(3日間前後)
②炎症期(~2週間)
③高原性経過期(炎症期~半年、あるいは数年に及ぶ、不安定な時期)
④平癒期(症状が落ち着いて、多少のことがあっても大丈夫になる時期)
①激炎症期では、動けなくて来院も困難です。
容態はギックリ腰となります。
この間は、根気よく患部周辺のアイシンングが非常に重要です。
その後のスムーズな回復のためです。
②炎症期では、何とか動けるため、やっと来院が可能となります。
筋肉、関節、靭帯、いくつかの筋肉を連結する筋膜、のそれぞれが問題を起こしているため、これらを全て施術していく必要があります。
ほぼ全ての場合で、歩くことと密接な関係がある骨盤の関節が、異常な状態であることが確認でき、正常な歩行を作っているこの関節の正しい動きを取り戻すための施術を行います。
この施術によって、正しい体の動かし方ができるようになると、やっと炎症が静まり、組織の修復がされやすい状態になってきます。
ある程度の身体バランスが回復してきたら、骨盤の関節を支える膝、足首などを見ていきます。
腰痛が治らない理由は、歩く事を積極的に行うことで治していこうとしない事に付きます。
かつては、歩いてはダメ、安静が必要、コルセットが必要と、指導された方も多いと思います。
しかし、骨盤の関節は、歩くことで改善に向かう特徴を、持っています。
患者様が歩けるよう励まし、歩く上で重要な骨盤の関節の、滑動性を取り戻せるような施術を行うことは、施術家の重要な役目です。
炎症を起こしやすい状態にしてしまってはなりません。
ほぐしたり、温めてしまうと、慰安にはなるかも知れませんが、筋肉が脱水を起こし、正常な治癒のための反応が起こらず、腰痛がますます複雑になっていきます。
また、むやみやたらに筋トレをしても、同じように複雑化していきます。
歩くことで、進化してきた骨盤の周辺の筋肉は、歩く事によってしか、復元が起こりません。
むやみな筋トレは、筋肉の疲労を起こすばかりか、骨盤の関節の滑動性を悪くする可能性があります。
人類の腰痛は、二本足で歩く事から始まったという言い方には、誤解があります。
骨盤の役割が理解されていなかった時代の、迷言と言わざるを得ません。
歩く事を積極的に行い、最短で平癒に至った方たちを考えると、つくづく実感します。
関節の滑動性が悪いままで、筋肉にストレッチを加えると、関節を痛めてしまうか、筋肉が異常に牽引を受けてしまい、筋肉周辺の血管内に、血栓を形成してしまうリスクを生じるため、要注意です。(血栓は、肺で詰まると肺梗塞、心臓で詰まると心筋梗塞です)
また、筋トレは、筋肉を一つの方向に向かって鍛えようとします。
実際の人の行動において、一つの方向だけに筋肉が働くことはなく、それと反対の向きの筋肉(拮抗筋)の働きが常にあります。
現在のマシントレーニングでは、同時に拮抗筋の存在を重視して行うことはできず、筋肉のバランスをよくすることは難しいと言えます。
更に、筋肉は常に、使うと使わないとを同時に行うようなことを行います。
歩行時に、腕を振る、脚を上げるという動作で、このことが特徴的にみられますが、体幹トレーニングにおいては、ほとんどこれが見られません。
腰痛は、単純に腰だけの問題で起こっていることは、ほぼなくて、身体全体の連鎖した運動が、連鎖しないことによって起こります。
この連鎖した筋肉の運動は、腰に限局したトレーニングで起こるものではありません。