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椎間板ヘルニアの治療

人は体に損傷を負った時、自然治癒力という力で生命を維持しようとします。

人が動く時、地球の重力が作して、体は自然にバランスを取ります。

このとき、すなわち重力が作用して、身体がバランスを取ろうとします。

このとき、私たちの体では、内包力という力が発生します。

 

体が怪我や問題を起こしても、この内包力によって体は治癒力を発揮します。

しかし、この内包力を邪魔するものがあると、怪我や問題をそのままにさせてしまおうと体はしてしまうのです。

例えば、筋肉の損傷であれば、筋肉は硬くなり発熱します。

この状態に対し、内包力がしっかり働くと、筋肉は自らを守るために、放熱ということをして熱を追い出します。

 

損傷後2~3日の間、筋肉痛や倦怠感が続いた後に、回復開始していきます。

ところが、この時に出た熱を更に加熱したり、揉んだりすると、熱はうつ熱してしまい、回復の機会を逃してしまいます。

そして、不良状態のままを、そこに定着してしまうのです。

 

よく言われるように、痛みは、「これ以上動くな!」という合図ではありますが、痛みだけ考えてそのようにしてしまうと、体を動かさないことによって、重力の働きかけを得ることができないため、内包力が起こらず、恒常性(ホメオスターシス)を保とうとする反応が起こらないのです。

恒常性(ホメオスターシス)とは、いつもの状態に戻り、維持しようとする、体の働きです。

 

椎間板ヘルニアでは、局所疼痛の箇所を画像処理して、何か原因らしきものを表現しようとしますが、いくら疼痛箇所を診たところで、痛みそれ自体を感じている脳の働きであったり、重力作用でバランスを取ろうとする身体の反応であったり、不良状態を回復しようとする内包力であったり、疼痛箇所の問題だけではない体全体としての働きを、一つでも見逃してしまえば、解決そのものがとても困難となってしまうのです。

 

椎間板ヘルニアで、回復困難になっている方たちによくあることは、良くない運動やストレッチを続けていたり、腰だけの治療をしてしまっていたり、気づかないうちに、身体を悪くしてしまうような体勢をとってしまっていることです。

 

 

こうしたことは、疾病をどんどん形成していく因子であり、内包力つまりは自然治癒に導いてくれる力を失わせてしまうのです。

身体を回復に導くためには、筋力の強化もなく、サプリメントを飲むことでもありません。

たくさん歩く事によって重力の作用を受け、バランスを取り戻していくことで得られる何かが、人を回復させていきます。

 

歩くことで、疾病形成因子を追い出し、重力に反応しながら、生物としての強さを身に着けていくことが、たいへん重要ですが、このようなことを、正確かつ根気に指導・管理してくれるところが、あまりないのが現状と言わざるを得ません。

 

病院で椎間板ヘルニアと診断を受けた人は、次のように4つの段階をたどります。

 

 

第一期 無症候期

 

この時期は、潜在的に問題発生しているが、未だ腰の痛みが強く出ていないため、一見大きな問題はなさそうに思っている段階です。

しかし問題発生を知らせる、いくつかの前駆症状が見受けられます。

 

夜間、足がつる。

朝起きた時に腰に違和感があり、腰がしっかり立たない。

朝起きた時に足の裏が痛い。

長く歩くとふくらはぎやももの後ろが張ってくる。

足がもつれたり、つまづく。

トイレで失敗してしまう、などです。

 

第二期 初期発症期

 

この時期は、いよいよ腰の痛みが顕性化し、病院で、レントゲン、MRIで検査すると、椎間板ヘルニアと診断がつく段階です。

ぎっくり腰と同じく、激症が出現することもあれば、足のしびれとして発症することもあります。

 

 

初期発症期の症状には、一見、椎間板ヘルニアだとは想像できないものもあります。

重い物を持ったから起こるのが、椎間板ヘルニアというわけではありません。

初期症状の代表的なものには、次のような場合があります。

 

朝起きて顔を洗うことがつらい。

変わった動作をしたら、強烈な痛みが起こった。

1~2時間クルマに乗っただけで、腰が痛くて伸びなくなった。

しばらく椅子に座っていたら、脚がしびれてきた。

腰がねじれているのが自分でも分かる。

腹回りが急に太った。

コルセットが手放せなくなった。

 

第3期 発症経過期

 

発症して1年から5年以上経った時期がこの時期です。

数々の治療を受けて改善が思うように起こらず、たいへん辛い思いをされている期間です。

なんとか自分で治そうとジムへ行ったり、テレビや雑誌で見たストレッチ法を実践してみるも、かえって体のあちこちを痛くしてしまったり、歩いてよくしようとしても腰が辛くて続かないと行ったことが起こっています。

精神的にも不安定で、胃腸の状態も思わしくありません。

歩き方がおかしいと人から指摘され、靴底の減り方を見ると片方の靴のかかとの外側がやけに減っていたりします。

足の裏に魚の目やたこが出来て、自分の歩き方がおかしいことが気になったりします。

トイレの回数が増えてしまい、内科的なことまで心配になったりします。

 

 

第4期 高原性経過期

 

発症から数年以上の歳月が経過し、様々な治療が加わってしまったせいで、状態は複雑化し、治癒を長引かせてしまっている時期です。

 

この時期に至ると、身体のあらゆる場所に悪影響が広がってしまい、背中の張りだけでなく、膝や股関節や肩関節にまで関節痛が生じはじめることもあります。

当然、治療は改善するまで長期を要します。

 

この段階での治療は、体について、間違えのない考え方と改善方法を習得し、一つ一つ確実に時間をかけてやっていくことでしか改善の道はありません。

 

しかし、間違わなければ、改善の望みは必ずありますので、ちゃんと理解している治療家との出会い、指導・管理してもらうことが運命の分かれ道となります。