今日は、腰のせいで膝が曲がらなくなったある患者さんのお話をさせて頂きたいと思います。
この患者さんというのは、普段ひざにトラブルを抱えておられる患者さんではないのです。
ご高齢で歩くときはいつも手押し車を押して歩いておられます。
私は、この膝が痛くて曲がらなくなったという患者さんに、いつものように「どうしていたらそうなりましたか?」とお聞きしました。
すると、「何もしていないのに気づいたら、腰かけようとして膝を曲げようとしても膝の裏が痛くて腰かけられない」「階段を登ろうとして膝を曲げようとしても膝の裏が痛くて登れない」とおっしゃいました。
その後、実際に治療ベッドに腰かけてみようにも痛くて膝が曲がりません。
なんとかベッドに仰向けに寝てもらって、私がやさしく膝を曲げるよう誘導してみても確かに曲がりません。
膝のみの施術もありますので一番安全な施術を行ってみますが、何も変わりません。
身体の神経の感じ方を診察する感覚テストという診察法があるのですが、ちょっとその感覚テストを、皮膚を傷つけないような先のとがったもので刺激するという方法で行ってみました。
これを左右の足に行い、左右で感覚の違いをお聞きしてみました。
すると、膝が痛くて曲がらないという左の足は、右の足と比べると、明らかに感覚が鋭いとおっしゃいました。
トラブルを起こしている側の膝が感覚が鋭い・・・
この鋭く感じている状態というのは、皮膚表面がピーンと張っているところに先のとがったものをあてられると感じる状態です。
そこで私は、その患者さんに膝が痛い側の足はもともと何か問題がありますか?とお聞きしました。
すると、その患者さんは昔からしびれがあって、病院ではしびれは治らないと言われてあきらめているとおっしゃいました。
なるほどと思って、私はしびれがあって膝が痛くて曲がらないというその側の足に、体重がしっかりかかるような施術を行いました。
そして仰向けで寝た状態でもう一度膝を曲げてもらうと、全くなんでもなかったように曲がりました。
立っていただいて、腰かけ、また立ち上がるという動作をしてもらっても、しっかりと普通に痛くなく曲がりました。
ご高齢の患者さんは、大変お喜びになって帰っていかれました。
もちろん、この患者さんはこれで全く治ったわけではなく、引き続き通院が必要です。
しびれは治らないというのは、正しく治さなければ治りません。
多くの場合、過去に転倒、交通事故、外科的手術などによって起こってきます。
しびれの原因を排除し、正しく体重をかけて動けるようになると、このような事はおこりません。
足は体重をかけてこそ、健康状態を維持することができるという話でした。
本日も、ブログをお読みいただき、ありがとうございました。