新規の患者様を見させていただくと、「ヘルニアと診断された」、あるいは「若い頃、将来ヘルニアになるといわれた」
というお話をよく聞きます。
ヘルニアという病名は、「跳び出す」という意味なのですが、何が跳び出すのかというと、椎間板(ついかんばん)という背骨にある軟骨の中から髄核(ずいかく)という玉っころが跳び出すんです。
なぜ跳び出すのかというと背骨に対して、急激な圧力が加わってその圧力に耐えきれずに、玉っころが軟骨を内側から破って跳び出すとよく説明されています。
問題は、この状態は「髄核(玉っころ)が軟骨を破壊して中から跳び出したから手術で跳び出した髄核(玉っころ)を取り除かなければならない」とされることです。
「この玉っころが神経を圧迫してシビレを起こすから取り除かなければならない」という説明もされます。
しかし、この髄核という玉っころの中身って、どんなだかご存知でしょうか?
実は、水です。
背骨は積み木を積んだように全体が構成されており、一つ一つの積み木の間に緩衝材として軟骨が存在し、この軟骨の中に、軟骨に強度を持たせるために髄核という固い中心を造っているのですが、この固い中心が、まさか水なんて?と思われることだと思います。
ですが、水というのは物凄い硬さを持っているのをご存知でしょうか?
水は「非圧縮性流体」と言って、どんなに大きな力で圧縮しようとしても圧縮できないという性質を持っています。
軟骨で周囲を囲んでしまえば、水は圧縮できない強さを持つのです。
なので、背骨全体の強さを考えれば、ないよりあった方が良いと言えるでしょう。
しかし、これが軟骨の外に飛び出した水は周りをなにかでギューと押さえつけられているわけではないので、フリーなんです。圧縮されるわけではないんです。
通常、跳び出した水は吸収されていってしまいます。背中からメスを入れて髄核を探そうとしても、「ない・・・」ということになります。
この水が殻を持って跳び出した場合は別です。これは取り除くという対象になるでしょう。
実際、ヘルニアの多くが手術は行われず、入院で安静です。
取り出そうと思っても、そこに水も何も無ければ、手術する意味はありませんから。
では、ヘルニアによる痛みやシビレは安静で良くなるでしょうか?
ほとんどが良くなりません。
これは、ヘルニアは腰で起こったことの一部のことであって、痛みもシビレもヘルニアと同時に起こっている、ある他の現象によって起こっているからです。
ある他の現象とは。
これが、椎体変位という現象です。つまり、骨がずれるという現象です。
これを改善しておかなければ、痛みやシビレはよくなりません。
ヘルニアの根本的改善は、椎体変位を完全することです。
特に、第4、第5腰椎の椎体変位はよく見かけます。
それにしても、冒頭で言った、ヘルニアの診断。水ならレントゲンに写らないはずなのに、どうして診断できるのでしょうか?
私は、不思議な話だと思います。
本日もブログをお読みいただき、ありがとうございました。