氷の効果ご存知ですか?
一般に痛いところは、「血行が悪くなっているから温めましょう」って言われますが、その意味を本当に理解している方は、ほとんどいないようです。
多くの患者様にカウンセリングして、その理由をお尋ねすると、「冷えると痛いから」とおっしゃいます。
私は、なるほど、確かに冬などは体の痛みが出やすいし、温泉治療なども昔からあるし、日本人は風呂好きの人が多い、と患者さんのご意見がもっともであることを思います。
実は、温めると楽になるのは、神経の感じ方が鈍感になるから楽なんです。
前回、体内の水分は隅々まで行きわたっているというお話をしました。
外部から身体を温めると、水はそもそも温まりにくく、冷めにくいという性質ゆえに、いったん温まったとなれば、その後はしばらくぽかぽかです。
冷めにくいわけです。
よって、しばらくは痛いと感じる神経が鈍感でいられるわけです。
この効果を大切にする先生がたは多いです。
これに対し、当院では、なんと!冬でも、アイシングという患部を冷やす方法をおススメしてきました。
その方法の歴史たるや、古く古代ギリシャの時代までさかのぼります。
民間療法と言えば民間療法ですが、当時は雪どけ水を利用していたようです。
今では、アイシングは、外傷の急性期に行われますね。
あとは、スポーツ選手のケアに、あと、エグザイルの氷風呂?
あれ?これ外傷じゃないですよね。急性症状あるわけでもないし。何で?????
そうなんです。実は、慢性においてもアイシングは有効なんです。
もちろん、私が一人で唱えている理屈じゃないです。
という事で、当院ではアイシングして患部をよくしていくんですが、初めて、この治療法を経験する患者様とのやり取りを書きますと、次のようになります。
早川「いいですか、初めて氷をお体にあてる時は、ピリピリと冷たい刺激を感じて、冷たーい!って感じますよ。」
患者様「そうなんですか?でも良くなるのでしたら、やってみて下さい。」
早川「わかりました。5分~10分の間冷たいですが、その後は慣れてしまいます。最初だけ我慢してくださいね。」
-10個ほど氷の入ったビニール袋を患者様の患部にあてる
患者様「うわっ!本当に冷たいですね・・・」
早川「はい、最初は皆さんそうおっしゃいます。でも、一度慣れてしまうと、2回目、3回目も起こしになった際平気でされます。辛いなどおっしゃらないし、むしろ気持ちよい、後が楽、とおっしゃる方が大変多いです。」
ー10分経過
早川「どうですか?慣れてきたでしょう。」
患者様「ええ、大丈夫です。」
ー20分経過
早川「じゃあ、アイシングはここまでです。」
患者様「あ、大して冷たいって思わないです。」
早川「患部を触ってみてください。」
患者様「あっ!冷たい!」
早川「この時点から30分たったら元の体温に戻っていますからね。その間ずっと患部で修復作業が行われます。」
アイシング体験時の患者様とのやりとりは、こんな感じです。
たいていの場合、患者様からその効果を納得いただき、患者様は自宅でもよくやってくださいます。
では、なぜ、氷が身体をよくするのか・・・
その前に、身体って自分から治る力を持っているのは、ご存知だと思います。
自然治癒力という力です。
自然治癒力で治っていくときの状態は、悪くした細胞組織を、免疫が綺麗に廃棄処理してくれて、壊れて無くなった部分は再生するか、似た組織か、補填するだけの組織かが造られていきます。
ちょうど、壁に穴があいて、そこをセメントで埋めるみたいなことです。
これが放っておいても体では行われるわけです、普通なら・・・。
しかし、治らないということであれば、この力が不足しているはずなのです。
何でかっていうと、壁に穴を空ける奴が、どんどん穴を空けていくから、セメントを造って、練ってへらにつけて、穴に押し込んでってやってると、間に合わないのです。
ですから、このどんどん穴を空ける嫌な奴を、少し大人しくさせてやらないと、左官のおじさんは間に合わないのです。
壁が全崩落してしまうのです。
この穴を空ける嫌な奴を大人しくさせるのに、あなたならどうしますか?
私は、こいつの動きを封じてやろうって思います。
それが氷によるアイシングなんです。
左官のおじさんは、仲間に頼んで、「親方に、壁に穴が開けられてるから補修していいかって伝えてくれ」って言わなければならないし、親方は、多くの仕事もあるんでちょっとだけ頭で考えて、どんな奴の仕業なのかとか、補修材料は足りているかとか、いろいろと段取りをしなければならないんです。
だから、その間に、穴を空けている嫌な奴を大人しくさせていないと、壁を直そうにも直せないんです。
親方から指示があって、材料が調達できて、段取りが決まって、左官のおじさんはやっと、せっせこと補修作業に取り組むことができるんです。
左官のおじさんなんて言ってごめんなさい。
実はこの左官のおじさんは、医学では、偉大なる免疫様とお呼びします。
で、嫌な奴って言うのが、傷病(悪さ)です。
アイシングは、傷病の勢いを封じている間に、免疫が余裕をもって、修復システムを完成させるための「時間稼ぎ」なのです。
それにしても、今年もあとわずか。だいぶん冷え込んで来ました。アイシングは部屋を暖かくしてやってください。
本日も当院のブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。