ぎっくり腰の人

目次

ぎっくり腰の考え方

 ぎっくり腰の意味

 発症から初期の重要な考え方

 

ぎっくり腰の原因

 座り方

 環境的な原因

 習慣的な原因

 原因ときっかけは違います!

 

経過段階に合わせた対処のしかた

 初期の対処で決まる!

 高原性経過段階に入ったら 

ぎっくり腰の考え方

ぎっくり腰の意味

ぎっくり腰とは、西洋で魔女の一撃と昔から言われるように、突如襲い掛かる激症です。まるで腰の骨が砕けたかのような痛みで少しでも動こうと試みれば、さらなる激痛の増強が起こるため、どう体勢をとったらよいか分からないような症状です。

 

そのため、救急車を呼ぶ方もいるようです。これだけの激痛が何か重いものを持った際に起こるかというと、些細な動作で起こることがほとんどで、何かに手を伸ばそうとしただけで、あるいは下にあるものを取ろうと少しかがんだだけでと言ったような、原因動作としては信じられないような小さい動きで発生します。

 

 

レントゲンやMRIなどの画像診断により、椎間板ヘルニア、すべり症、筋筋膜性腰痛など色んな診断名がつけられますが、これらの病名はぎっくり腰を表すものではありません。ぎっくり腰は、普段の日常生活での歩行不足や労作上の動きのクセ、そして過去に起こった腰への外傷などによる腰への負担の積み重ねが限界を突破しておこる現象です。当初より問題なのは、ヘルニアでも腰椎すべりでも、筋膜でもなく、仙腸関節の動きの問題であり、そのため対処法は、すべての腰痛と共通の対応をしていくべき問題となります。つまり、ぎっくり腰がおこったほどのヘルニアだから、様子を見ている場合ではなく即ヘルニアを取り除かなければならないという考えにはならないということです。

発症から初期の重要な考え方

まずは対処法として、仙腸関節を中心とした股関節を含む範囲のさらしの装着と、損傷部位に対する炎症の処理(具体的には徹底したアイシングによる熱の処理)が急性期の絶対的な処方となります。

 

ぎっくり腰が癖になってしまう方がいらっしゃいますが、それは、このような初期の手続きと、ぎっくり腰を起こす理由への対策をしっかり行っておかないことに由来します。

 

 

ぎっくり腰になるのに先行して、仙腸関節にトラブルを抱えている状態が長く続いていたことが原因であるため、仙腸関節に被害を与えない日常生活のしかた(歩行不足、くせのある動作の改善)を実践していくことが問題解決のための正しい方法で、投薬などによる痛みのコントロールに終始してしまうと、本当の改善のチャンスは訪れず、再発を繰り返す腰になってしまいます。

ぎっくり腰の原因

座り方

仙腸関節や仙腸関節に直接影響する腰椎、股関節を悪くする原因の一つに、座り方の問題が挙げられます。

 

代表的なものとして、

➀横に崩した女性座り

②体育座り(三角座り)

③足組み座り

④あぐら座り

⑤長座(足の投げ出しすわり)

⑥座り方ではないが、自転車に乗ること

 

 

これらの座り方が習慣になると骨盤が開くか、腰椎後方の連結部(関節)が開いてしまう癖がつき、関節内の潤滑形成が無くなってしまうことから、腰の動きがあたかも錆びついたかのような動きになってしまい、正常な動きによる負担を吸収するという機能が停止してしまうのです。自転車は、サドルが楔(くさび)の役割となってしまい、骨盤が真ん中から左右に離開する傾向を助長させてしまいます。

環境的な原因

また日常の動きに悪いくせを作ってしまう環境的な原因として、次のようなことが挙げられます。

➀部屋の家具の配置のせいで、動線上の動きがほとんど右周りである

②床に物がたくさん置いてあり、きちんとした着地ができない

③ソファーや座椅子に腰かけるかあるいは床に座る生活である

④テーブルに座る位置がいつも同じで、テレビが右に配置してあるため、いつも右を向きながら食事をする

⑤階段の行き来を多くしなければならない

⑥道が左右どちらかに傾いている道をいつも歩いている

 

 

これらはすべて、腰椎の土台である仙骨を左右の寛骨という骨盤の骨がしっかりと挟み込んで支えてくれなかったり、右と左の寛骨がバランスの取れた動きをしなくなったり、腰の荷重のしかたの誤りや左右差によるの荷重の誤りを作っていってしまいます。

習慣的な原因

習慣的原因として、次のようなことが挙げられます。

➀移動手段がクルマや自転車やバイクになってしまっており、歩く機会がない

②長風呂が好きである(湯船に浸かる時間が5分以上)

③帰宅すると床にゴロゴロするか、横になってテレビを見ている

④じっとして動かない

⑤痛いところに湿布を貼ったり、カイロをあてる習慣がある

⑥マッサージ器を使用したり、マッサージをしてもらう習慣がある

 

これらは、二足歩行で得られる骨盤の支持のしかたとは異なるため、骨盤の支持力が低下してしまったり、熱の投入や産生を助長してしまったり、放熱を遮断してしまい、炎症を呼び起こす原因になるものです。筋組織の脱水や繊維化、皮膚張力の低下など問題要素を多く含んでいるのです。

 

よかれと思って行っていることが逆に悪いということが、多く含まれていることにお気づきだと思います。

 

このように日常生活や仕事において、有害となる事が多く潜んでいて、それらが骨盤や腰椎といった支持構造を悪くしてしまう根本原因であることに対して、果たしてストレッチや電気治療、マシーンを使ったジム運動、ましてや病院のけん引療法が問題を解決するかどうかということです。

 

 

目先の症状にばかり気を取られて、根本的なところを疎かにしてしまうと、逆に傷口をもっと開いてしまうことになってしまいます。

原因ときっかけは違います!

 

 

ぎっくり腰のおこるきっかけ

 

上に挙げた諸々の原因が積み重なって半年、一年、数年と経過しているなかで、ふとしたきっかけによって、ぎっくり腰は起こります。それは、まるで相撲の土俵際で力士が最後の一押しが指一本で済むのと同じです。寝ていて電気をつけようと紐に手を逃した、自転車に乗っていて降りてカギを閉めようとした、たったこれだけのことで、その動作の前段階が骨盤の緩んだ状態(この場合はゴロ寝していたこと)、骨盤を開いた状態(この場合は自転車に乗っていたこと)であったために、普段の骨盤の性質をしっかり浮き上がらせてしまったところに、一瞬の動作が加わって、まさに魔女の一撃となって腰を破壊させてしまったというようなことが、ぎっくり腰なのです。

 

経過段階に合わせた対処のしかた

初期の対処で決まる!

治癒までの経過は、次のような段階があります。

 

➀激症段階

②経過段階

③高原性経過段階

④平癒段階

 

激症段階においては、動こうとすると激痛が走るため、安静しかありません。寝ているのが良いかというとそうではありません。お尻を高くして(お尻が低くなる椅子、ソファーはだめです)、腰かけ、専ら炎症の除去に努めなければなりません。方法としてアイシングです。時間を長くとり(一回が2時間未満であること)氷を十分に混ぜた氷みずで行います。決して、アイスノン、保冷剤、冷蔵庫から取り出したばかりの氷で行ってはなりません。凍傷になってしまいます。表面に霜のついていない氷と少しの水が入った氷のうを使用します。

 

2時間冷やしたら、1時間は間を開けます。続いてさらに2時間、また1時間開けて2時間・・・と言った具合に繰り返します。

 

入浴は厳禁です!3日~5日はお風呂は避けてください。お湯で濡らしたタオルを絞って体を拭いてもらうのはOKです。湿布は炎症熱の放熱を閉じ込めてしまうので、炎症を大きくしてしまいます!

 

固定が必要ですが、さらしによる股関節・骨盤の固定をします。身体の形状に合わせ対角の締結を意識した巻き方をします。強すぎず弱すぎずの巻き方で、決して強引な閉め方をしてはいけません。さらしを巻かなくてもよい時期の判断は指導者の絶妙な判断によるため、その時が来るまでは、自分でも巻けるよう指導を受けなければなりません。

 

食事は、控え目でエネルギー変換効率のいい、おにぎりなどが良いです。カロリーが高いものや、消化吸収の良くないものは控えます。水分は良く取りましょう。

 

冬場であれば、身体が冷えないよう着込んでください。緩めの衣服が良いです。夏の冷房環境にも注意が必要です。全身を冷やしてしまったのでは別の問題が生じます。

 

身体はタンパク質でできていますので、温めるとタンパクが凝固してしまいます。炎症は熱によって、痛んだ細胞を破壊して治していく過程ですが、過剰に起こると正常細胞まで巻き込んでしまいます。この冷却法では、そのようなことが最適域まで抑えられます。ぎっくり腰は、炎症が大きすぎることが問題なのです。

 

頑張って、出勤したり、家事を行うのは好ましいことではありません。風邪ぐらいであれば、かえって動いていたほうがいい事も多いですが、ぎっくり腰は特別です。

 

 

施術もこの時期は非常に限られた行為に留まります。安全にこの時期が過ぎるようことに徹することが肝心です。

高原性経過段階に入ったら

発症から2週間を過ぎて経過段階に入りますと、ようやく施術が行えます。この時期を高原性経過期と言います。

 

少しずつ段階を追った施術のしかたです。経過を診ながら、できる事を判断していきます。部屋の中を少し歩いたり、四つ這いを行うのは経過を良くします。

 

動きがよくなってきたら、施術も少し踏み込んで行えます。過去に負った骨盤関節の古傷にもアプローチしていきます。

 

不安定な骨盤にしてしまってはいけないので、さらしの続行、テーピングの追加を検討します。

 

生理的な運動療法を少しずつ増やしていき、四肢(特に下肢)と腰の関節が上手く潤滑して動けるよう仕向けていきます。

 

痛みが無くなったことがゴールではありません!

正常な生理動作のメカニズムが完全に備わることがゴールです。

 

歩く時間は段階的に長くしていきます。最初は5分、次第に15分、20分、25分、35分、最終的に連続して45分歩けるよう伸ばしていきます。

 

高原性経過段階においては、45分の連続歩行が、日常生活の当然のルーティーンになっていけるようご指導していきます。1年かけて平癒に導く覚悟と努力が必要です。 

当院での改善法
施術の様子

ぎっくり腰の施術は、それぞれの時期によって変わってきます。

  1. 身動きが取れないほどの激痛時期(発症から〜1週間)
  2. 動作によって強く痛む時期(〜2週間)
  3. 強い痛みはないが油断すると戻る時期(1週間〜数ヶ月)

1のような激痛期は、炎症症状がきついのでアイシングを積極的に行います。関節の働きに不具合が生じて炎症が起こっているので、どこの関節で炎症が起こっているのかを見極めて動きの改善を図ります。

炎症が引いた後は、さらなる関節の動きの向上、維持のためにトレーニングを行います。同時に間違った動作や日常生活の悪い癖を改善していきます。施術とトレーニング、日常生活の改善指導をすることによりぎっくり腰になりにくい強い体作りを目指します。