ストレートネックは、頸椎のカーブが消失した状態をいいますが、このことの何が問題かというと、カーブによって頸椎自体が損壊しないようになっていることと、頸椎カーブによって頭蓋への振動が減じられていること、頸椎内の中枢神経(頚髄)が大きな動きの際にも破損から免れることなどの重大な役目が消失していることです。

 

頸椎カーブという重大な役割は、頸椎のみで見るのではなく脊柱全体の一部、そしてその脊柱を土台として支えている仙骨をも見て初めて意味をなします。

 

つまり、体のどの部位においても関係することですが、私たちの体は、単純にいうと脳を守るために存在しているのであって、脳以外は、付属器官といってもいいぐらいなのです。イメージとしては、最高中枢としての脳を地上からの振動から遠ざけながらも、脚、骨盤、脊柱で地上より支え、外界の物理的刺激を手や足といった四肢で防衛できるようこれらに末梢神経を這わせ、脳の望むところに従い移動肢として使用できるようにしているのです。脊柱全体としては、移動動作に伴う体幹の変形においても容積を一定に保てるよう胸郭と計算し合って脊柱カーブ率を決定しており、しかも動作中、脳にダメージを与えないようカーブ率は絶妙に計算されているのです。このような重大な要素である頸椎のカーブが損なわれると、症状としていずれ大きな障害をもたらすことは自明の理と言えます。昨今原因不明の疾患が多いというのも、このあたりの根本的解釈がすっ飛ばされて医学が進んでしまっているからであろうと私共は考えます。

 

頸椎のカーブを消失してしまう原因というと、いくつかあります。

①不良姿勢

②骨盤後傾

③外傷

④これらの複合

ということになりますが、①の不良姿勢としては、高い枕の使用、頬杖、スマホを長時間しているなどが挙げられます。ちなみに、ストレートネックが自覚出来ていないというのは、巻き肩と言って肩甲骨ごと方が前に出ている姿勢により、体幹との相対的な位置関係が気付きにくい場合です。

②の骨盤後傾は、いわゆる骨盤が高度にゆるんでいる状態で、当然ではありますが、ゆるんでまともな背骨の支え方はできないため、カーブは消失してしまいます。

③の外傷というのは、過去の尻もちや膝うち転倒によって、脊柱の土台である骨盤が自然治癒が不可能になってしまっている状態で、とくにこのような原因であることが多いのが臨床的に確認できます。

いずれにせよ、これらが単独で起こっていることは少なく、ストレートネックといえどもその全身的意味合いを考えると大きな問題であり、そのために次のような症状を合併しているケースを良く見ます。

①呼吸障害型・・・息苦しい

②睡眠時無呼吸・・・大きないびきと無呼吸を繰り返す

③咳喘息あるいは咳が治まらない

風邪をよく引くというのも含まれます。

 

頸椎カーブを取り戻すには、支えるという要請を体にかけてあげることが大変重要です。身体を支え、頭を支えるということを当たり前のようにやっていくことであり、そのためにソファーや座椅子は問題となります。これらは、楽ではあるのと引き換えに、姿勢は丸くなり、支持関連の筋肉(特に脊柱起立筋や殿筋)を衰弱化させてしまいます。ある一定の負荷を縦にかけることと、慣性力による負荷をかけるためには歩行が必要なのですが、反対に歩行不足であれば、ストレートネックは起こりやすいと考えてください。

 

施術は、脊柱すべて、骨盤は重要で、それ以外にも肩、肋骨、腕や足といった全身に及ぶ場合も少なくありません。運動療法も、それに応じた形でご指導していきます。

 

ただ、ご本人の姿勢に対する意識は必須です。姿勢は脊柱起立筋などそれを維持する筋力をつけることが重要なので、一夕一朝でどうにかなるものではありません。つまり習慣化させることが大切です。